蝶の毒華の鎖 感想
★あらすじ
抜け出せない螺旋状の罠 禁断の鎖毒を持っているのは誰?
百合子の誕生日に施されたパーティー。
野宮家は子爵とはいえ困窮しており、それは精一杯の見栄の宴だった。
娘を深く愛する父が無理をして盛大な祝いをしてくれたのだ。
内情をよく知る幼なじみの秀雄に呑気なもんだなと揶揄され、集まった華族たちに嘘寒い世辞を言われ、百合子は耐えきれずに逃げ出そうとしていた。
舞台は大正時代の東京。
ヒロインは由緒ある華族の家に生まれながら、呪われた運命に翻弄されていく。
★感想
このゲームはまず真島の為のお話のように思う。
各攻略キャラのルートに関わってくることもそうですが、お話の根幹も真島が関わってる点などからそうかなぁと。
まずは真島以外のお話を。
基本このお話は、百合子の家が傾いており、誕生日会兼お見合いパーティーで良い相手を見つけて家を何とか存続させようとするも、とある人達にパーティーをめちゃくちゃにされるところからお話が始まります。
なんかもう、初めから結構明るい未来が見えてこないというかどうなっていくんだというワクワクがありました。
しかし、この攻略できるキャラクター達、幼なじみの秀雄以外は基本的に華族ではないです。
斯波はお金持ちではあるが華族ではなく成金である。
そしてその攻略キャラクター達と百合子の関係性が故に恋人になり、結婚するには壁が存在してきたりと一筋縄では行かないものばかり。
藤田は身分の違いやハーフというもの(当時は偏見があったから故に)、瑞人は血の繋がりは無いとはいえ兄妹のような関係性、尾崎も華族とはいえ純粋な華族からの偏見、斯波は成金という元々貧乏なとこの出自などがありました。
それぞれGoodエンドに関してはお互いの気持ちを1歩踏み込んだ(いい意味で)からこそ迎えられたエンドなのだと思う。
BADの方はその1歩を踏み込めずに、ボタンの掛け違いのようになり歯車が狂っていったようにおもう。
ノーマルエンドに関して。
これは誰ともくっつかないエンドではあるが各々より幸せになるために自分を解放できたエンドであったように感じました。
皆、野宮家からの解放や身分などの呪縛から解放されやりたいことをやって生計をたてていくいいエンドだったように思う。
そして、このお話の根幹である真島ルート。
どのキャラクターのお話にも必ず関わってきます。
共通して
・上海で阿片を売っており、阿片王との繋がりがある。
・闇の阿片王の通り名がある
というもの。
情報源も大抵お金持ちや情勢に詳しい方からの情報でありました。
瑞人のルートでは
花街で阿片を提供してそういう行為をするお店の頭である
という情報も。
恐らく、というかほぼ間違いないですが藤田のBADで出てくる見世物小屋というのは真島が経営してる裏風俗なのでしょう。
真島がこういう風になるのには理由がありました。
それはこの物語から25年ほど前に遡ります。
百合子の母は実の兄の事を1人の男として好いていました。
恐らく兄も満更ではなかった。
そして2人は愛し合うわけです。
その2人の間に産まれたのが真島でした。
流石に兄妹で産まれた子を表立って育てられないので、女中夫婦に育ててもらうことに。
ある程度、真島が大きくなった頃に百合子父が育ての親を殺してしまいます。
そこからこの真島は野宮家に復讐を誓い、庭師として入り込み家を潰そうとしていたというもの。
だが、そんな時に百合子に惹かれてしまうわけです。
血は争えなかったわけです。
グッドエンドは野宮家からしたらバットエンドではあるが2人からしたら良かったのかなぁとは思う。
けどこの2人が子を作るorできた時にまた同じ悲劇を繰り返さないことを俺は祈ったり……。
そして結構印象に残ってるのが
『おかしなお姫様』エンド
これ、ノーマルエンドの女探偵のエンドの真逆じゃないですか?
ノーマルエンドは皆がそれぞれやりたかったことを出来てのびのび生きれてるわけです。
それに、各攻略キャラクター達がグッドエンドでやりたかったことが出来たりこれがやりたというものが出来たエンドなのです。
ですがこのおかしなお姫様は、みんな失踪したり自殺したりと自らの人生に幕を閉じていきます。
真島的には復讐出来てる点からグッドエンドなのかもしれませんが……。
これは逆に各キャラクター達のバットエンドで思い詰めて行動したことが一気に起こります。
何たる悲惨……。
そういうのも含めてこの作品は楽しめました。