暗い日曜日 感想
僕は、兎に殺される
雨の降りしきる6月。
主人公・成瀬真人の暮らす町に「切り裂きジャック」と呼ばれる連続猟奇殺人犯が出没する。
だが謎と恐怖を残したまま、その犯行は終息。
そして10月、再び巡ってきた雨の季節。
主人公は、悪夢の中で巨大な兎と遭遇する。
その日を境に、現実と悪夢、過去と現在の境界線が狂い始め-。
★感想
これは全4つのお話を読んでいくにつれてお話が進んでいきます。
エンドは全部で20個あります。
このゲームはやり始めた時と終わったときで印象が変わるゲームの1つだと思います。
最初はホラーテイストで都市伝説系のお話で進んでいくものだとばかり思っていました。
パッケージから見ても単純にグロと暗い話と思ってはいました。
結局の所このゲームは家族、家族愛と自分を許せるかどうかどう決別していくかというゲームたったと思う。
ここに出てくる『兎』は母の象徴であり、『狼』は父。
そして、この人型兎は主人公が母との唯一の繋がりであり思い出である兎の人形をズタズタにしてしまったが故に昏睡状態の中で後悔だったり懺悔の念で創り出された存在だと思う。
だから途中に人型兎に攻撃されるのは人形をあんなにしてしまったという念からだと思う。
そして切り裂きジャックが殺していた人が母にそっくりだったのは憎んでいた為と出たが『強すぎる愛情は憎しみに変わる』例の1つだと思う。
もっと自分を見て愛して欲しかったのだと思う。
しかし主人公から見た母はこの家族を見捨てなんとも思ってない父しか見ていないと思い込んでいた。
しかし母はちゃんと自分のことも見ていたのだと終盤気づく。
そして人を殺す、傷つけるために出てきたもう1つの人格とも決別をして目が覚め、父とも決別を決めて新たに前に進んでいく。
昏睡状態の中で過去の清算と未来へと進んでいく事を行っていたのが良かった。
『過去は幼虫で昏睡状態が蛹で成虫になって羽ばたいていく』この儚さと美しさが詰まった作品だと思いました。