滅び朽ちる世界に追憶の花束を 感想
全てを捨てる、覚悟を決めた。
地位も名誉も財産も……そして、大切な家族も
全てを置き去りにして、この時代から去ることを 決めた。
滅び朽ちる世界に追憶の花束を送りましょう。
これは、色々な形に栄えたそれぞれの時代と、そこで生きる人々のお話。
そして自らの望みを叶えるために時空を超える旅に出た、愚かな男の物語。
長い歴史の流れから見ればほんの一瞬の生でしかない彼女たちは、それぞれの時代を果たしてどのように生きたのでしょう。
それぞれの時代に何をなそうとしたのでしょう。
花のように、人はたった一度きりの美しい花を、それぞれの中で咲かせるのだと思います。
今回はそんな、生命力に満ちた物語をお話しましょう。
★感想
このお話は8個の話がありオムニバス形式で読んでいくことになります。
特に選択肢などもないので読み進めていけば大丈夫です。
ざっとではあるのですがそれぞれのタイトルとあらすじをまずはご紹介。
【forever 薔薇】
永遠を誓った恋人の話。
醜かった自分の顔を整形し、美しい自分を手に入れた緋依。
彼女は大学の卒業研究でその美しさを永遠にするために不老不死の研究を始める。
かつての自分が人に踏みつけられるような雑草のような存在なら、今の自分は誰もが目を留めるような存在。
けれど自分には人の力で造り変えられた不自然な存在なのではないかと疑問に思い始める。
自然には決して存在しない青い薔薇と青い薔薇を研究している恋人。
この幸せがずっと続いて欲しいと願う少女が永遠と一瞬の意味を知る。
【melancholy 紫陽花 】
この世の憂鬱を嘆いた少女の話。
梅雨だというのに雨が降らないことを憂鬱に思う紫亜。
そんな彼女の元にある日、綾小路清四郎という少年がやってくる。
彼は紫亜の祖母の蒼子の旧友、清二郎の孫。
その清二郎が亡くなったことを、清四郎は蒼子に伝えに来た。
2人は『梅雨の憂鬱に負けない会』を設立した仲。
清二郎の遺書の謎を解く鍵は、蒼子の思い出の中。
蒼子と紫亜、現代と未来の女子高生、2人の感じる憂鬱とは?
【abandoned 向日葵】
娘を失った父親の話。
『ジャンクタウン』と呼ばれるスラム街に、貴重な金属を探すべくやってきた陽炎。
そこは社会的に見捨てられた者が集う街であり、治安がとても悪いことで有名。
そんな街で彼はブルーという少女と出会う。
殺伐としたその街の中で明るい笑顔を見せる彼女に彼は亡き娘の面影を重ねる。
死んだ娘にどことなく似ている少女。
ガラクタだらけのその街で、灼熱の太陽が照りつけるその場所で、落日に向かい、首を傾ける太陽の花
【 vivid 彼岸花】
人間らしく生きたかった少女の話
超能力の素質がある者として抜擢されその能力を覚醒させるために殺し合いをしなければならなくなった紅と沙乎華。
支給されたナイフを使って、1週間以内に2人どちらかが死ななければならない。
赤の他人だった2人は、互いに似通った部分を見つける。
人間らしさを欠いている紅に、沙乎華はやっと自分と分かり合える人と巡り会えた気がした。
あらゆるものと繋がりを感じられない彼女たちにとって、自信をこの世に繋ぎ止めるのは生きていることを証明する鮮やかな赤色だけ。
まるで彼岸から此岸を眺めているかのように生きてきた彼女が、そのナイフで切り裂くのは?
【innocent 百合】
正義の味方になりたかった子供の話。
人類が宇宙へと足を伸ばし月に設立した裁判所、通称『アテネの学堂』
月という何にも属さないその土地で、平等という名のもとに世界中のありとあらゆる討論が行われている。
そして、いくら時代を経ても答えの出ない討論がある。
純粋な悪と呼ばれる少女闇と正義と悪について討論を交わすために、今日も挑戦者が現れる。
子供の頃正義と悪の味方になろうと誓った百合と玄兎。
異なる形でそれぞれの正義を貫く2人は……
【circular 蓮】
救いを願った少年の話。
清掃の仕事をしながら生計を立てている少年大悟の住む街の美術館に展示されることとなった奇跡を呼ぶ力を持つという黄金の冠。
大悟はしかし、ひょんな事から原価14億というその冠を盗んでしまう。
彼が追われて逃げ延びた先は、どこか分からない林の中。
彼はそこで、マゼンタと名乗る不思議な少女と出会う。
池の上に突如として現れた彼女は幽霊なのか池の女神なのか 。
淀んだ現世は泥の沼のように慈悲深い彼女は蓮のように罪にまみれた少年に彼女が教えるのは
【lost 忘れな草】
臆病者の男の子のお話。
ユグドラシルと呼ばれる空中都市の生徒、臆
そこでは自然の心理に迫るため数々の研究が行われていて、臆自信も自分の研究に励んでいた。
当たり前に続いていく日常、けれど彼はそんな日常に疑問を感じ始める。
自分は何か重要なことを忘れていることを。
あまりにも辛い出来事を、人は自分を守るために忘れてしまう。
忘れないでという思いが込められた青い花を眺めながら彼は……
【dear たんぽぽ】
親愛なる彼へ手紙を出した彼女の話
30世紀末。世界は終わりを迎えるらしい。
そんな終末思想が支配する時代に生まれた、未黄。
次第に大気の温度を下げていく地球で生きられなくなった人々は、コールドスリープすることで未来に希望を託すことにした。
人類の長い冬の時代が訪れた。
子供を試験管で生み出すような時代にうんざりしていた彼女は、世界の終わりを望む。
しかしここにはたくさんの愛の記憶があった
これがそれぞれのあらすじとなっています。
一応時系列順にお話はしていますがどのお話から読んでも差支えはないかとは思いますが、この順番の方がしっくり来るかもしれません。
自分は違う順番でやりましたが……。
個人的に好きだったお話は
・melancholy
・abandoned
・dear
・innocent
が好きでした。
1周目ということもあり全然考察はできていませんが、どの時代を生きる人達もそれぞれの幸せを目指し生きて、そして次へのバトンを繋いでいくようなお話しで前向きであたたかくなるような印象なお話でした。
オムニバス形式とはいえ、あるお話ででたキャラクターが違う話で成長して出てきていたり事象なども話にでてきたりもして繋がっていく感じもまた良かったです。
リレーの最後のお話、dearでは思いを手紙に飛ばして締めくくりましたが、勝手な自分の想像としては未黄が春にはもちろんのことこの地球に生きている人へ、そしてこの後栄えるかもしれない人達へそしてプレイヤーに思いが届いて欲しいというのもあったのではないかと勝手に想像しました。
色々考察できる部分はあるとは思いますがこれは改めてやっていこうと思います。