君の想い、その願い 感想
『ずっと願ってた……この想い、届きますようにって』
卒業後、医学部で学ぶため上京中の影志。
秋のある日、1人の女性が亡くなったとの連絡が入る。
その女性は、学生時代に付き合って「いた」恋人だった。
彼女とは、はっきりとした別れではなく、忙しさの余り連絡を取れなくなり疎遠になっていただけだった。
6年ぶりに帰ってきたこの町で主人公は様々な女性と出会う。
懐かしい幼馴染み、大きく成長した従妹、恋人の妹。
主人公との出会いにより、女性たちの運命は大きく変わる。
彼女たちが抱えている心の傷とは?
心の痛みに「救い」を求めるもの、「救い」を与えてくれるもの。
そして、それぞれが求める救いとは?
★感想
この物語は悠(主人公の元カノ?)が亡くなった知らせを聞き、故郷に帰った所でお話が始まる。
そしてこのお話の根幹にあるのが悠の想いと夏希ルートの普通のエンドとバッドエンドだと思う。
悠は主人公の事を好いていて亡くなる直前もその思いはあったと思う。
そしてこれからの人生を幸せに生きてもらいたいと想っていたと思う。
そして、夏希ルートのバッドエンドでは夏希は亡くなってしまうのだが夏希自身も主人公の幸せを願ってたと思う。
悠にしろ、夏希にしろ亡くなったあとは幸せに過ごして貰えるなら自分以外との女性と付き合って結婚してっていうのも大歓迎だったと思う。
生きていたらそれは自分と幸せにはなりたいが亡くなったあと私に囚われすぎて幸せになれないというのは苦しいと思うのではないかと思ったから。
ちゃんとそこで幸せになったのが夏希のグッドエンドであったと思う。
結婚して子供も授かったことから思う。
夏希のバッドエンドとグッドエンドはそういった意味でも2つ用意されていたのが良かったと思う。
それ以外のルートでは沙奈と佳織のルートも悠の想いの通りお互い話し合い心を通わせ前向きに幸せに向かって進んでいっていたと思う。
が、問題はあと2人のルートである。
響子と香澄である。
この2人のルートは果たして幸せになっているのかである。
響子のルートでは考えようによってはと思う。
響子は悠の病気に効くかもしれない薬を外国から院長が取り寄せてその薬が悠の身体に合わず亡くなってしまう。
その罪悪感と院長の脅しや性的暴力がかさなり最終的に心を病んでしまい、病院に入院してしまう。
そこで主人公が介抱する話であるがこのまま2人でゆっくりと今は苦しいけれどここを乗り切ったら過去のしがらみから解放されて過ごせるのかもとは思うが、必ずしもそうなるとも限らないのがなんとも難しい。
香澄の話は悠の想っていたことと正反対の結果となってしまっていると思う。
上京してOLで働いていたがその上司が自分のものにしたいがために仕事の不正をわざと行い、香澄の彼氏と別れさせるように仕組み、周りから振り向いて貰えないように仕向けた。
最終的に今いる場所まで探し当てて追い詰めていった。
元上司に怯え1歩も部屋から出ることなくずっとずっとくっついて過ごす。
ここから幸せに過ごすってことを考えるとかなりの労力が伴う上に現状では幸せになる方向が見えなかった……。
この作品の良かったのが『これからの人生を幸せに過ごして欲しい』っていうのがテーマであってそう出来たルートと、場合によっては出来るルート、出来ないと思われるルートが全て描かれていたのがすごく良かったと思った。