奇形児 感想
★あらすじ
虐待・性暴力・いじめ・自殺などを扱った、
なんだかいやーに生々しいお話。
★感想
11歳の可奈と19歳の専門学生の明彦のお話。
可奈は学校ではいじめられており、母から愛情を受けておらず父親替わりの人からは暴力などを受けていた。
一方、明彦は学生時代ずっと虐められており専門学生になった時もからかわれていた。
が、唯一普通に接してくれていた女性がいた。
その人に惹かれ、告白するも嫌悪されてしまう。
そしてさらに、明彦が苦手とする男性と付き合っていたことをしる。
そして絶望する。
そんな中で2人は偶然にも同じ公園に行き出会う。
2人ともこの世の中を憎みながら生きており、でも死ぬのは怖いという。
そしてお互い慰め合い、明彦の部屋に行く。
そして可奈が寝てる時に襲うわけです。
途中で目が覚め明彦は結局嫌われる。
そして可奈は自殺してしまう。
ニュースでそれを知った明彦。
そして次第に自分のやった事に気づき(おそらくは)命を絶つ。
という流れ。
可奈は恐らく自分と似た境遇の人と出会い、そこで仲良くなれた。
その事で未来は明るくなっていくものだと思っていたがそれは明彦の手で潰されてしまうわけです。
明彦自身も明るい未来を願ってはいたのでしょう。
本人も彼の部屋で可奈に言ってはいたのですが他人との距離感や言葉の発し方などが上手くない。
可奈とは違い本当のそういった意味で生まれつき奇形児なのだと。
結局、可奈は明彦と出会うことで変われたかもしれないが明彦は変わろうとはしていたのかもしれないがやはり変われなかった。
しかも可奈が亡くなったと知った瞬間、自分は自分の力で可奈を手に入れた勝者であり可奈こそ明彦自身に負けた弱者なのだと思うようになる。
おそらく明彦の奇形児言われる所以はそこにあり、本質であり、今に至る理由でもあるように思う。
ただ、誰しも完璧な人などはおらず大小はあれど人の心というものはどこかしら欠けているのかもしれません……
中々に面白い1作でした。