Eternity 感想
ー氷の欠片の舞い散る空は
影落ちることなく白く満ちるー
「え……」
「ここは酷く冷えるから」
季節を勘違いしたこの空間で、夏の恰好をしている辰彦は肌寒さを感じているが、それはそのまま彼女にも言える。
少なくとも彼女は辰彦がここに来るより前から閉じ込められていた筈なのだから。
だけどそんなことにも気が回らないのか、辰彦の口から出たのは意味をなさない単語だった。
「君は……」
当然、何を尋ねられてるか分からなかったのだろう。彼女は首を捻る。
それでもなにか思うことがあったのか、かすかに顔を上げて辰彦を窺った。
「私は、水雪と言います」
「みゆき……」
繰り返し、辰彦は弾かれたような顔をして彼女を見た。
「僕は辰彦。池上辰彦って言うんだ」
「…………」
水雪は辰彦のように口には出して繰り返しはしなかった。
ただ胸の中に思い浮かべ、記憶に刻む。
「辰彦様」
一度だけの呟きに、自分の動悸が激しくなるのを感じた。
★感想
この作品は復讐やなにかを信じる心をテーマにしてた作品であったに思う。
主人公はとある骨董品屋で売られてた蒼い宝石を手に取ったところから始まり、この舞台である村に呼ばれるようにして行く。
そこで聞いた伝承に出てきた雪女と対面してというような流れである。
この雪女は水雪であり、母の綾は巫女の手によって殺害されてしまい水雪は土蔵で監禁されていたという感じである。
理由としては人間のエゴや嫉妬というもので何かこの雪女に実害が出た訳では無い。
そして水雪は監禁される原因となった母をそして、監禁した人間を恨む。(表立ってはその描写は無し)
そして亡き母が娘の中に入ってせめてもの償いと恨みを晴らすために巫女の血を引くものの殺害に及ぶ。
人間側は理解ある者もいるがやはり『怖いもの』や『雪女に殺された恨み』などからその雪女を退治しようとする。
どっちにもその動機となる理由は分かるものの、復讐は復讐しか生まないことが描かれてたように思う。
そして、鍛冶屋が母の綾を信じて愛していたように優香や主人公は水雪と綾を信じていたのだと思う。
そういう自分の味方というものが少なくてもいることで救われたりするのだと思う。
その信じてくれてる人達のためにも前向きに生きて言ったりできるのだなあと思う1作でした。
P.S.
水雪ルートのこの描写はほんとに泣きました(一部のみですが画像を。)