好き好き大好き！ 感想

倒錯する主人公の愛と狂気……

  『やっと、ボクの夢がかなったんだ。ボクの好きなゴムの衣装に身を包んだ、ボクの大好きな女の子。誰にも渡さない。誰にも触れさせない。絶対、誰にも触れさせるものか。』

『蒲乃菜は、僕だけの蒲乃菜なんだ……』

 1人の少女を愛しすぎたが故に、彼女を自宅の地下室に監禁してしまった男は、ラバーマスクで目隠しをされ、視力まで失ってしまった怯える少女に宣言をした。

－何もしない。ただ、そばにいて欲しいと。

 ひたすら彼女に優しく接し、その愛を得ようとする男と、怯え、絶望し、狂気へとかりたていく無力な少女。

 たった一人の少女にのみ向けられた男の盲愛に、彼を取り巻く少女達は気づかない。
男を慕い、一途に愛情を寄せてくる大学の後輩。木更津みるく。十数年振りに再開した幼なじみ、藤堂莉果。従姉の莉果を愛するあまり、主人公に辛く当たり、憎悪してしまうスポーツ少女、天童瑠花。心理学を研究する美女、すだまゆかりは常に謎めいた微笑みを浮かべ、男の疑心暗鬼を誘う。
 1人の少女を監禁し、それ故に誰も信じられなくなってしまった男と、彼を取り巻く少女の物語です。

★感想

  まずはすごい作品だなと思う。
主人公が監禁したことによって周りに対する疑心暗鬼具合だったり、蒲乃菜に対しては最初はきっと分かってくれるから本当に好きになってもらえるだろうかと言った具合に心情が変化していく様や(ヒロイン達の心情然り)、ゴムを表現する様なども丁寧に表現されていた。

  エンドは全部で11個あり、そのうち1個はifエンド。
大体は捕まったり〇されたりと因果応報なエンド。
 まぁあんなことしてたらバレた段階で逮捕されるよなぁ思う。

 みるくはなかなかインパクトの強い子ではあったもののやっていることは主人公と同じであり、関係性は『主人公と蒲乃菜』、『みるくと主人公』と言った感じ。
みるくもみるくで主人公に対してすごく好きな気持ちであったのでしょう。
ただそこに主人公はラバーフェチが入っただけで。

 何となく思ったのが、主人公は時々妄想にてヒロイン達に酷いことをする。
『さよならを教えて』や『for elise』などもその類ではあるものの、好き好き大好き！の主人公と他２作の主人公には違いがあると俺は感じた。

さよならを教えてやfor eliseは周りの影響もありああいう風になった感じがするけど、好き好き大好き！の主人公に対しては基本自分が監禁を始めたことでと言った感じであると思う。

 ラバーが好きなのは昔からではあるけれど……

 この作品は丁寧に心理描写の書かれた監禁物であり、かなり面白い1作でした。