銀色完全版 感想
★あらすじ
ー切なく哀しい「銀色」の物語ー
……どんな願いでも叶う、不思議な銀色の糸。
様々な時代を通して、複雑に、そして哀しく絡み合っていくストーリー達。
そのストーリーが最後結びつく時、きっとあなたの心の中に熱い思いが……
第1章 逢津の垰
色街から何となく逃げ出したヒロイン
垰で野盗をし、何となく人を殺す毎日の主人公。
……そんな生きている実感もない2人が出会ったことから始まる切なく哀しい物語。
第2章 踏鞴の社
山合の里に、今日も鉄を燃やす踏鞴の煙が広がる。
そんな静かな里の小さな社
特に何かを祭っている訳でもない神社にやってきた地方領主の息子の主人公。
そこで主人公は1人の巫女と出会うのだが
第3章 朝奈夕奈
仲のいい姉妹。平凡だけど幸せと呼べる日常。
そんな2人のストーリーが絡み合っていく。
そして、その結末は意外な方向へ
第4章 銀色
舞台は現代の夏。
物語はここで終息へと向かう。
第5章 錆
そしてさらに別のストーリーが
★感想
まずはこの作品で出てくる銀色の糸についての説明を。
月の雫が落ちてきたものが「銀」、
その銀を加工して術者の魂を込めたものが銀色の糸。銀糸は、使用者の「血(=生命力・運気)」を代償とし、
どんな願いでも叶えることができます。
願いの度合いによって、要求される代償が変わってくるようです。
そしてこの銀色の糸の作られた時から現代までの流れも載せます。
久世家当主の命令で吉備大井跡が銀糸を作る
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銀糸を受け取った久世当主がそれを用い雨を降らす
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五行博士が悪用としていたので、銀糸を隠しに行く。
その時、錆の姉妹に出会う。久世当主がお産に立ち会う。
その後にどこかに銀糸を隠す
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だが五行博士に感づかれてしまい、銀糸を再び隠すことに。
その時に石切姫と川原にいる時に死ぬ間際の錆の姉に遭遇。
結局、銀糸は商人に託す
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一章のあやめが銀糸を拾う。
「生きた証が欲しい」願いは聞き届けられる。
使用後、朱色から銀色に。
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商人の消息が不明になったことで、久世当主と石切姫が捜索に出かける。
帰り際、五行博士の手下に斬られる。
久世当主は自分の血で染まった銀糸を使用。
「この娘を死なせないでくれ」
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石切は銀糸を琴の弦に混ぜ、神社に託す。自身は中国へ。
↓
2章の狭霧の話。
銀糸使用、「狭霧を助ける方法」
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3章の朝奈・夕奈。母「あやめ」から首飾りとして託される。
銀糸を無茶苦茶に使用。
↓
4章現代編。あやめが拾う。
「お母さんなんかいなくなっちゃえ」「話したくないのに」
という流れになっています。
そしてこの銀色の糸はあやめという名を持つ女性に渡っていることも分かります。
なので俺自身の考えではありますが、この銀色の糸というものは『代償を支払うことにより願いを叶える』という物であり、現代までその代償を支払い続けた人達の思いや願いの力もあり現代のあやめでやっと幸せを手に入れられたのだと思っています。
確かにそれまで銀色の糸は使われており、代償を支払うことによりその都度の願いは叶ってたものの本当の幸せというものは得られずだったように思う。(願いは叶ってはいるけど対価が大きいゆえに個人的には本当の幸せは掴めてなかったと思う)
そして1~3章に出てくるあやめや主人公の男の人は4章の前世であり、ようやくここで本来の幸せを手に入れられたようにも感じた。
なので、あやめと三井は今この幸せという物をしっかり噛み締めて生きていけるのかなとも感じました。
5章は1章の前の話や補完などのお話でした。
中々楽しめた1作でした!